さらば香港啓徳空港
 

 7月5日啓徳空港最後の日

午後11時50分の最終便が出た後70年の歴史を閉じる
 
 
香港に行く飛行機に乗るときは、右窓側の席に乗りなさい。そうすれば香港の旅の楽しみの50%を空港着陸時に満喫できます。
初めて香港を旅した時、ある香港の友人から教えられたこの言葉を、毎回香港啓徳空港に着陸するたびに納得してきました。
この空港ほどスリリングな着陸はありません。ほとんどの場合香港に着陸する際は、飛行機は香港島の西側、ランタオ島から香港島を右に見ながら九龍側から着陸態勢に入り、最後の段階で90度右にターンしながら滑走路に進入します。 その時右側の座席に座っていると右旋回のため、右側から地面に落下してまるでビルの軒先ぎりぎりをかすめて着陸するように思われ、ビルの窓からはその部屋の中が見える位の距離感になります。この光景を一度味わったら麻薬のように病みつきになります。
香港に帰任する場合、いつも香港着22時ごろの夜間便を利用していましたので、着陸態勢に入ると、漁船のいさり火、コンテナ船の停泊燈、住宅地の街灯、香港島の100万ドルの夜景と楽しんでいると、急に右旋回が始まり九龍側の雑然としたネオンとビルの軒先が飛び込んできます。その窓からは、部屋の中のテレビが見れるようにも思えます。
香港は多湿のため霧に覆われていることも多く、霧が切れたかと思うと右旋回で目の前にビルが現れあっという間に着陸していることがたびたびありました。

6月24日、JL739便で香港へ帰任が啓徳空港へのランディングの最後になりました。
うっすらと霧に包まれた香港の夜景を見ながらもうこの着陸を楽しめないかと思うと残念で
今後の香港への旅も半減するだろうと思いました。

1998年7月5日、香港啓徳空港はその70年の歴史を閉じ、7月6日からはランタオ島出来る新空港に舞台を移します。
 
 

 
1. 着陸態勢に入る
 
 
2. 右旋回を始める
 
3. 右旋回中

4. 正面に見える滑走路に向かう