古代ギリシャ遺跡を巡る旅 2018年9月
Athens


パルテノン神殿南面

DAY 8

滞在8日目、今日はサントリーニ島から飛行機でアテネに戻りアクロポリスを訪れます。

 
サントリーニ空港


サントリーニ空港
朝食後、バスで20分ほどのところにあるサントリーニ空港に向かいました。ここはフィラの町がある場所からすると島の反対側にあたり、海に向かい平地が広がっています。11:10発のSky Express GQ2201便でアテネに戻ります。 搭乗する飛行機は双発プロペラ機。それでも30分ほどでアテネに到着しました。

 


アクロポリス
空港から市内へ。昼食後アクロポリスへ向かいました。アクロポリスはアテネの中心部の丘の上にあり、ミケーネ時代の王国の首都がおかれていたことが確認されています。BC6世紀ごろになるとここに古アテナ神殿か建てられ、BC489年マラトンの戦いに勝利したアテネは、ここにパルテノン神殿の建設を始めます。しかしBC480年にアテネはペルシャに侵略され、未完のまま破壊されてしまいました。BC447年にペルシャとの和睦がなると再び建設が始められ、BC432年完成したといわれています。

アテネ エレフテリオス・ヴェニゼロス空港 レストラン街

アクロポリス(古代ギリシャ遺跡辞典より)

最初にアクロポリス全体の復元CG映像を見てみましょう。

 アクロポリス復元CG映像(1:25) (出典:You Tube)

次にアクロポリスの歴史の変遷を見てみます

 アクロポリスの変遷CG映像(6:27) (出典:You Tube)

アテナ・ニケ神殿
駐車場でバスを降りると、通りを隔てアクロポリスの丘が見えてきます。 ここから最初に見えてくるのがアテナ・ニケ神殿。ここには勝利の女神ニケが祭られており、BC5世紀末に完成しました。

 
アテナ・ニケ神殿

プロビュライア
アクロポリスの入場ゲートをくぐり坂を上っていくと、アクロポリスの正面入口、プロビュライアがそびえたっています。ここにある急な階段を上り門をくぐると、そこからはパルティノンが見えてきます。

プロビュライア

   
アグリッパ馬車像台座  

   
 プロビュライア(前門)天井  


 
 プロビュライア(前門)内側

へロデス・アティコス音楽堂
門をくぐり右側に折れると、丘の上からイロド・アティコス音楽堂が見えてきます。BC161年に建てられたこの音楽堂は、当時建物全体が屋根で覆われており5000人を収容できる音楽堂でした。 ここでは現在でもコンサートやオペラが上演されており、音響効果も抜群だそうです。

 
ヘロデス・アティコス音楽堂

丘を回り込み中央に戻るとアクロポリス全体が見えてきます。

パルテノン神殿西面 左エレクティオン

エレクティオン
パルティノンを右に見ながら進むと左側に女性像の柱が並ぶ建物が見えてきます。ここはポリスの守護神アテナを安置した神殿で、エレクティオンと呼ばれBC406年に建てられました。この建物の前には、ペルシャ軍により破壊された古アテナ神殿の礎石が残っています。

   
エレクティオン

パルティノン神殿
エレクティオンを左回りに回り込み全景を見た後、再びアクロポリスの中央に出てパルテノン神殿の北側を見ながら歩いていくと、建物の東面に出ます。パルテノン神殿はBC449年に着工され11年かけて完成されています。建物は視覚上美しく見せる工夫がしてあり、基盤は中央を少し高く、円柱は下から上まで同じ太さではなく中央が少し膨らんだエンタシス方式を採用しており、これは奈良の唐招提寺の柱にも伝わっています。柱は少し内側に傾いており,、四辺の柱は他のものより太く、隣の円柱との間を狭くして安定感を出しています。神殿内部には、肌を象牙で衣服を黄金で飾られた11メートルのアテナ像があったそうですが現在は焼失したとされています。 破風の彫像や浮彫のフリーズなどは英国の大英博物館に展示されており、ギリシャは英国に対し返還交渉続けています。 

 
パンテオン北面

アクロポリス全景 右エレクティオン

 
パンテオン東面

 
パンテオン北西面

少し長い映像ですが(11:45)パルテノン神殿がどのように作られたかの再現CG映像です。

パルテノン神殿建設CG映像(11:45) (出典:You Tube)

ディオニソス劇場
パンテオンの南面に回り込み丘の上から見渡すと大きな劇場が見えてきます。BC6世紀ごろ建設され一万七千人を収容することができるこの劇場では、ディオニソス神にささげられる祭りがここで行われ、舞踏や劇が上演されました。

ディオニソス劇場

さらに南面に沿って西に進むと眼下には、ゼウスの神殿、先ほど見たヘロデス・アティコス音楽堂が見えてきます。 西面に回り込みプロビュライアからアクロポリスを出ると、前方にパンテオンを小型にしたヘファイストスの神殿も見えてきます。この建物はBC5世紀ごろ建設され、内部にはヘファイストスとアテナの像が安置されていました。残念ながら今回、この神殿のあるアゴラへは時間の関係で立ち寄れませんでした。

   
ゼウスの神殿 ヘロデス・アティコス音楽堂

 
プロビュライア ヘファイストスの神殿 

パナティナイコ スタジアム
アクロポリスを後にバスでパナティナイコスタジアムに向かいました。BC331年ここに競技場を建設されましたが、現存するものは1896年に第一回近代オリンピックが開かれたときに作られたもので、観客収容人数は6万8千人です。2004年アテネオリンピックではマラソンのゴール地点となり、野口みずき選手がここはで最初にゴールテープを切りました。

 
Map 6 南の館(South House)入り口

スタジアム見学後、新アクロポリス博物館を訪れました。ここは撮影が禁止されており写真は撮れませんでしたが、エレクティオンの少女の5本の柱などが展示されています。

 新アクロポリス博物館よりアクロポリスを見る

  博物館の下にも遺構

   
 ハドリアヌスの門 街角のナッツ屋 

アテネ ― イスタンブール ― 成田
これで今回の予定訪問地はすべて廻り終えました。
アテネ発22:45 TK1844便でイスタンブールへ飛び、乗り継ぎでイスタンブール発01:40 TK0052便で成田に帰りました。
イスタンブール空港は新しい空港が年内に開港する予定で、現在の空港を利用するのは今回が最後となりました。

イスタンブール午前1時40分TK0052便で帰京

今回は7泊10日でギリシャ、エーゲ海の島々を旅しました。アテネの考古学博物館やミケーネの遺跡など今回巡り切れなかったところはまだありますが、次回の楽しみにしておきましょう。今回、ポリス以前のギリシャの文明(ギリシャと呼んでいいものかどうか不明ですが)がメソポタミア、エジプト文明の影響を受けながら地中海で花開いていたこと。それがある時期断絶を経てポリス時代の古代ギリシャ文明を生み、それがローマに受け継がれ今日のヨーロッパのみならず世界各国に大きな影響を与えてきたことを考えると、この地域は世界歴史にとり見逃せないものだと感じ益々好奇心をそそられる存在になりました。

今回も多くの書籍、ネット上の旅行記や歴史解説など大変役に立ちました。一部ですがここに掲載させていただきます。

ネット関連

Title  URL 種類  時間
 ギリシャ遺跡全般

http://isekineko.jp/europe-index2.html

ブログ  
 

http://hp1.cyberstation.ne.jp/legend-ej/

ブログ  
 アレクサンドロス大王ペルシャ帝国への挑戦

https://www.youtube.com/watch?v=vZouWHI4EUw

映像 1:09:42 

図書関連

ギリシャ史  桜井万里子  山川出版  2005/3 
古代ギリシャの歴史
ポリスの攻防と衰退 
伊藤貞夫 講談社学術文庫  2004/7
古代地中海世界の歴史 木村凌二/中村るい  筑摩書房学芸文庫 2012/11
ギリシャ人の物語 I-III 塩野七生 新潮社 2015/12
東地中海世界のギリシャ 周藤芳幸 京都大学学術出版会 2006/10
東地中海世界の中の古代ギリシャ 岡田泰介 山川出版 2008/5
図説ギリシャ
エーゲ海文明の歴史を訪ねて
周藤芳幸 河出書房新社 2007/9
古代ギリシャと世界の七不思議 後藤克典 双葉社 2007/1
古代ギリシャ
地図で読む世界の歴史
リバート・モアゴット/桜井万里子 河出書房新社 1998/6
クノッソス ミノス王宮殿
ミノア文明の研究
ソソ ロギアドゥ・プラトノス クノッソス遺跡博物館  
Akrotiri The archaeological site and
the musium of prehistoric Thera
Christos G. Doumas Akroteri Musium