古代ギリシャ遺跡を巡る旅 2018年9月
Santorini


フィラの町から見たエーゲ海とネア・カメニ島

DAY 7

滞在7日目、今日は午前中アクロテリ遺跡で発掘された出土品を展示した新先史博物館を見学。その後アクロテリ遺跡を訪れ、午後はサントリーニ島を散策します。

 

 
 ホテル中庭


新先史期博物館
朝食後フィラの町の中心地ホテルから歩いて5分の所にある新先史博物館に出かけました。ここにはミノア文明以前、BC3000-2000年にキクラデス諸島を中心に発展したキクラデス文明の出土品と、それ以降にミノア文明の影響を受けたアクロテリ遺跡から発掘された出土品が展示されています。サントリーニ島ではクレタ島のような大規模な宮殿は現在は見つかっておらず、庶民の暮らした街並みの遺跡が発見されています。アクロテリはBC1700年頃大地震で破壊され、その再建過程で再び付近の海底火山がBC1628年頃大爆発するという災害を受けます。住民たちはこの噴火を予知していたらしく島外に避難し、放棄された街は火山灰の下に昔の原型をとどめたまま発見されることになりました。住民たちは貴金属品を持ち出すことができたようで、遺跡には現在祭司で使われたと推測される「金の牛」だけが発見されています。遺跡からは色彩豊かなフレスコ画に装飾された邸宅が残っており、当時の人々との生活レベルの高さを感じさせられます。
朝一番ということで、博物館のチケットをどこで売っているのか、どこが入り口なのかわからず少し戸惑いましたが、何とかチケットを購入。当日最初の入場客となりました。

裸婦像 初期キクラデス時代 (BC2700−2400年)

初期キクラデス時代(BC2300−2000年) 

中期キクラデス時代(BC2100−1600年) 

アクロテリ遺跡出土品

   
串焼き台 BC17世紀 椅子 BC17世紀

   
 青銅製小刀 17世紀BC  青銅器刀 17世紀BC

   
線文字A まだ解読されていない BC17世紀  祭儀用金の牛 BC17世紀

BC17世紀

   
BC17世紀

女性の館(House of the ladies)から発見されたフレスコ画

 女性の館(House of the Ladies)から発見された「女性とパピルス」のフレスコ画 

  B館から見つかった「青いサル」のフレスコ画

   
西の館(West House)から見つかったフレスコ画 

アクロテリ遺跡
新先史博物館見学後バスでアクロテリ遺跡へ。バス停は博物館のすぐ近くにありバスのチケットは車内で購入します。フィラの町から30分ほどで遺跡に到着。遺跡は街の一部だそうでまだまだ地中に埋もれているそうです。すぐそばには海が迫り、ここからエーゲ海各地に向けて交易が盛んだったと考えられています。遺跡は保護のため屋根が設けられており今も発掘が進んでいます。まず全体像をつかむため遺跡の映像をご覧ください。

 アクロテリ遺跡(5:51)( 出典:You Tube)

次に示す地図は遺跡の概要です。 見学は南口から入り時計と反対周りに見学します(左回り)。

 
アクロテリ遺跡(アクロテリガイドブックより参照)

まず最初に見えるのがMap1番の大きな建物です。5階建ての高さがあったようでかなり大規模な建物でした。

Map1 5階建てだったとされる大きな建物 

さらに進むとMap2番の双角の牛の館(House of Double Horns )が見えてきます。3階建ての建物で、牛の角のシンボルが屋根に飾られていたようです。この館からは有名な「ユリと燕」のフレスコ画が発見されています(アテネ考古学博物館蔵)

 
 ユリと燕(アテネ考古学博物館蔵) (ガイドブックより参照)

   
Map2 双角の牛の館 (復元図はアクロテリガイドブックより参照)

次に進むと遺跡の最北端にあるMap3番の貯蔵庫に出ます。ここからは多くの壺などが発掘されました。また、博物館にあった「串焼き台」や線文字Aのプレートも見つかっています。

 
Map3 貯蔵庫 から大通りを見渡す。

 
Map3 貯蔵庫

貯蔵庫を過ぎ南に向かうとい女性の館(House of Ladies)が見えてきます。ここからも先ほど訪れた博物館に展示されていた「女性とパピルス」のフレスコ画が出土しています。ここを過ぎ左折すると遺跡の地上レベルに降りることができる通路があり、少し進み右に折れると三角広場に出ます(Map4番)。
この広場の南に向かって右側の3階建ての建物が西の館(West House)です(Map5番)。復元映像にあるように室内は多くのフレスコ画で飾られており、また二番目の復元映像にあるように2階のトイレから下水に流れるように設備が整っていました。 また地震に備え、各壁は木の柱で補強した耐震構造になっていました。この建築構造はほかの建物でも確認されています。

西の館CG復元映像ー1(1:48) (出典:You Tube)

 
 西の館CG復元映像ー2(3:14) (出典:You Tube)

   
Map4 三角広場 左West House (復元図はガイドブックより参照)

 
Map5 West House 左側トイレ 右外壁に排水管

 
排水管の外壁基部は石で蓋がされており清掃可能になっていた
 (アクロテリDVDより参照)

   
 Map5  West House 室内復元図(アクロテリガイドブックより参照)
   
 川のある町からのアクロテリに出発  アクロテリに寄港
Map5  West House 室内フレスコ画(アクロテリガイドブックより参照)

三角広場を通り抜け南に進むと、左に南の館(Map 6)、その反対側に木製のベッドが見つかったベッドのテラス(Map7)があります。

   
Map 6 南の館(South House)入り口 Map 7 ベッドの見つかったテラス( Terrace of Beds)

さらに南に進むと右側にB館があり、ここには博物館で見た「青いサル」のフレスコ画のほかに、アテネの考古学博物館にある「ボクシングをする男の子」のフレスコ画も発見されています。

   
 Map8 B館全景 室内フレスコ画(アクロテリガイドブックより参照)

   
 室内フレスコ画(アクロテリガイドブックより参照)

南の入口まで進むと、2階建ての南西の館(EXSTE3 Map9)があります。ここからは「金の牛」が発見されており、何らかの儀式に使われた建物であると推測されています。壁は色彩豊かなフレスコ画によって飾られていました。

 
 南西の館(Map9)とその復元図(アクロテリガイドブックより参照) 内部構造(アクロテリDVDより参照) 

 
  室内フレスコ画(アクロテリガイドブックより参照)

   
  室内フレスコ画(アクロテリガイドブックより参照)

南口から見ると、街の南から貯蔵庫まで南北に大通りが通っており、地中には下水管が敷設されていました。

下水管 南北 大通り

アクロテリ遺跡は、クレタ島のクノッソス遺跡ように推測で無理やり復元されているものとは異なり、発掘されたままの形で見学できます。
この遺跡を見ると、ここに住む人々が海外との交易を通して築かれた経済力をバックに、文化的で芸術センスにあふれた豊な生活を送っていたことがしのばれます。
現在発掘され見学できる遺跡はごくわずかで、まだまだ地中には大規模な街が眠っているそうで、ひょっとしてクレタ島と同じように大きな宮殿が将来発掘されるかもしれません。

遺跡を見学後、ガイドブックを購入しようと園内を探したのですが見当たらず、ガイドさんにミュージアムショップの場所を尋ね、遺跡を出て海の方向へ少し進んだところにある張りの出店が正式のミュージアムショップでした。お兄ちゃんが2人暇そうに本を読んでいて、商売っけが全くありません。 ここでガイドブックとパリで行われた遺跡発掘から発見された研究成果のシンポジュームを録画したDVDをゲット。 ガイドブックは英語で書かれていますが、写真や復元図が多く掲載されており遺跡見学には必携の書です。またDVDも出土品、建築様式など詳細な説明が加えられており非常に参考になりました。遺跡見学以前にゲットしておくべきでした。

   
アクロテリの講義録DVD  アクロテリガイドブック

遺跡見学後、再びバスに乗りフィラに戻り街をを散策します。 Nextをクリックしてください。