Grand Canyon
遠い昔のことですが、中学校の頃、学校でGROFEのGrand Canyonの音楽を映像化した映画を見たことがあります。
その時の印象が強烈で、こんなにスケールのでかい風景がこの世の中に存在することに驚きを覚えました。 学校から帰って、レコード屋に飛んでゆきこの曲の注文をしたことを覚えています。当時は海外旅行など夢のまた夢でまさかその時自分が将来その土地を訪れることが出来るなんて夢にも思いませんでした。
Grand Canyonはコロラド川が数百万年かけて砂漠の大地を侵食して出来た渓谷で、幅は6キロから28キロ、断崖はコロラド川の水面から1500メートル、渓谷の長さは450キロに達します。
アメリカの作曲家、Grofeはこの壮大な渓谷の1日を1931年に組曲Grand Canyonとして発表しました。この曲には
"Sunrize","The Painted Desert", "On The Trail", "Sunset", "Cloudburst"という5つの楽章からなっています。
最初にこの風景に接することができたのがMontriolからLAへ飛んだとき、はるか上空から赤茶けた大地と深い谷間を見たときは本当に感動しました。次に、地上からここを訪れたのは10数年経ってからのことになります。出張でPhoenixに行った節、友人が週末に連れていってくれました。Phoenixから車で砂漠の中をひた走りに約4時間、遠くに見える山がいつまでたっても近づいて来ない風景になれてしまったころ、Grand
Cannionがそこに現れました。そのスケールの壮大さに改めて目を見張りながら、そこに向けるカメラではその風景のほんの片隅しか切り取ることが出来ない無力さを感じたときシャッターを切ることをあきらめてしまいました。
それ以降、Phoenix を訪れるたび何度となく訪れたこの地は、四季折々、流れる時間の中でその風景を刻々と変化させ、風音の中に聞くあの組曲とともにいつも私を感動させてくれます。